つめたい。

大変な週末。安っぽい言葉では労うまい。
元通りに戻せるものだけでもいい。
一日でも早くすべて戻ってくれればと思う。

ところで、
大地震翌日土曜日の電車内。
しばらく、いや、一生かもしれない。
忘れられない光景を目の当たりにした。

すすり泣く声が嗚咽に変わり、
やがてわんわん泣く声が聞こえた。
驚いて乗客の頭越しに見ると、
二十歳前後の女の子がドア際で目を腫らして泣いていた。

片手に電話。さっきまで話してたのかな。
タイミングがタイミングなだけに彼氏にフられた
電話というよりも地震に関係した会話だったに違いない。
家族？親戚？友人？恩師？わからん。亡くなったのかな。

でさ、問題は。
誰一人として、彼女に声をかける人が居ないの。僕以外。
オバハンは泣く子をジロジロ見るし。
オッサンは新聞。ネエちゃんはメール、
ニイちゃんは音楽鑑賞。忙しいんやね。

僕がかけた声も「しっかりね。」という弱々しい一言。
それ以外、何もしてあげられなかった。

東京砂漠。